ホテルや旅館経営、または小規模で民宿やゲストハウスを開業したい場合、どういった準備を行い、必要な手続きは何なのか。この記事では順を追って解説します。
どの旅館業を営むのか決める
まず、ホテルか、旅館か、または民宿やゲストハウスなど、どの携帯で宿を営むのかを決めましょう。それによって申請する手続き、必要な要件が異なってきます。
旅館業の定義
どのような行為が「旅館業」にあたるのかについて、旅館業法(昭和23年法律第138号)において、旅館業とは、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」と定義づけられています。
旅館業の種類について
旅館業には、「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」という3つの分類に分けられます。
簡易宿所営業:宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のものをいう。
下宿営業:施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいう。
参考文献:旅館業法
宿泊施設を開業する場合、営業する施設形態によって要件を満たす必要がありますので、開業する予定の宿泊施設は何に当たるのか確認しましょう。
宿泊施設を開業するまでの流れ

次にホテル・旅館などの旅館業の営業を始めるまでの流れについて解説します。営業許可を取得するまでのプロセスは各自治体で異なります。事前に営業を行う予定の各都道府県の自治体に確認して下さい。営業するまでの大きな流れとして以下をご紹介します。
1, 各自治体に事前相談
2, 建物の図面の準備
3, 管轄の消防署へ消防法の検査の相談
4, 営業許可申請
5, 保健所の実地調査
6, 営業許可書の交付
7, 営業開始
宿泊施設の建設・リフォームを行う前に各自治体に相談
旅館業の定義・種類について解説しました。どんな形態で旅館業を営むのか決まったら、まずは開業予定の地域の自治体に相談しましょう。自治体によっても要件が異なるので、物件購入やリフォームする前に事前確認をすることで、そもそも営業できない物件購入のリスクも減らし、後々の手続きが楽になります。
建物の図面の準備
自治体によって異なりますが、営業許可を取るためには建物の図面やエリアの見取り図、電気設備図、配管図など提出が必要になります。古い建物や古民家を活かして旅館業を営む場合、図面がなかったりします。その際は、建築士に図面を書いてもらう必要があります。以下はホテルや旅館、民宿の設備等の要件を簡潔にまとめてみました。
ホテルの場合の構造・許可要件
ホテルを開業するには、旅行業法に基づいて各都道府県知事等の許可が必要となります。自治体によって必要な要件を確認しましょう。また、ホテルの構造および設備を主とする施設(観光ホテル、ビジネスホテル 等)は、客室10室以上であることと定められています。
旅館・民宿の場合の構造・許可要件
旅館・民宿を開業するためには、旅行業法に基づいて都道府県知事等の許可が必要となります。自治体によって必要な要件を確認しましょう。温泉旅館や観光旅館など旅館の構造及び設備を主とする施設とは、客室が5室以上であること定められています。
上記はそれぞれ客室数の違いがあり、その他の設備などの要件は多数定められています。設備の要件や利用基準は下記の厚生労働省に掲載の旅館業法施行令に記載されているので、物件購入・建設・リフォームする際はチェックしてみて下さい。
参考リンク
旅館業法施行令の設備基準・利用基準はこちら
管轄の消防署へ消防法の検査の相談
宿泊施設を開業する場合、消防法上、設備に問題ないか検査する必要が有ります。管轄の消防署に相談し検査してもらいましょう。不足する設備に関しては、消防署に消防設備を取り扱っている業者を紹介してもらいましょう。
営業許可申請
営業許可申請を各自治体で申請します。事前に自治体へ相談に行った際に確認した、営業許可申請に必要な申請書類、各自治体が定めた手数料が必要となります。営業許可が得られない場合は、旅館業法の規定を満たしていない可能性がありますので、自治体に再度確認する必要があります。
保健所の実地調査
旅館業法で定められている建築設備の構造か、また各自治体によって定められている構造を守られているか、保健所の実地調査が入ります。保健所の調査を合格するために、やはり1番最初に自治体に要件を確認することが重要と言えます。わからないことは徹底して自治体に確認して下さい。
営業許可書の交付
書類審査と保健所の実地調査が終わり許可が下りると、初めて営業許可書の交付がされますので宿泊施設の営業ができます。
最低限集客に必要な準備
宿泊施設の営業許可が下りたら営業できますが、集客するための準備も必要です。最低限のインターネット集客準備として、楽天トラベルやじゃらんnet、るるぶトラベルなどの国内のOTA(オンライントラベルエージェント)と契約するのが早いでしょう。
また、Googleマイビジネスを登録することで、Googleマップに表示させることも可能です。Googleマイビジネスについては改めて解説します。
まとめ
ホテル、旅館、民宿と開業するための要件が異なるので、予め各自治体に事前相談しておくことで、物件選びからリフォーム、後々の各種申請手続きがスムーズになります。晴れて営業許可が下りてホテル・旅館・民宿・ゲストハウスなどの宿泊施設が開業でき営業開始です。想いの詰まった宿泊施設を営み、日本の観光地を盛り上げていきましょう。